要約
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夜間の睡眠前半に多い深睡眠時に成長ホルモン分泌される
睡眠不足の子供は脳構造が未発達
睡眠不足が認知機能の低下、問題行動の増加をきたす
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“早く眠ないと大きくならないわよ〜”と小さい頃母親から言われ、家族が楽しそうにテレビを見ているのに無理矢理寝かされた経験をお持ちの方はおられるのではないでしょうか?男性は身長が低いより高い方がイイ、2mはいらないけど・・なんて少し古い考え方です。そのような言動は現代では問題発言と言われてもおかしくないかもしれませ。成長ホルモンの分泌が22時〜2時頃ピークとなるという説があり、その時に睡眠していないと成長できない。これは本当なのでしょうか?少し解説させていただきます。
成長ホルモンは、夜間の睡眠前半に多い深睡眠時に分泌されると一般的に言われています。特に子供にとってはこの成長ホルモンが、骨の発達や筋肉の成長に大きく影響します。睡眠不足の子供は脳の構造・発達が不十分となる場合もあり、それに伴って認知機能の低下、問題行動が増加するという報告もあるようです。さらに免疫力向上や体脂肪の代謝の調節、疲労回復にも効果もありと言われており子供の成長だけでなく成人の健康維持に十分な睡眠は不可欠です。
疑問であった早く寝ないと大きくなれない・・という疑問ですが、睡眠開始2~4時間後に出現する深睡眠(N3)で成長ホルモンの分泌上昇が生じることがわかってきました。早く眠ることや22時〜2時に寝ていることが重要ではなく、しっかりとした深睡眠の獲得が重要ということです。お母さんに“早く寝ないと大きくなれない”と言われたら、寝始める時間が重要ではなく睡眠開始2〜4時間にどれだけ深く睡眠を獲得するかが重要だ、と言い返してください。あ、ちなみにお母さんの言うことを聞かないと生活が破綻する(夕食抜きや洗濯してくれない等)ことを十分覚悟と上で・・・。家族で色々おしゃべりしてコミュニケーションを維持することがとってもとっても大切なことは皆さん、百も承知ですよね!
別のお話で詳しくご説明しようと思っておりますが、その他のホルモンも睡眠中に分泌されています。コルチゾールはステロイドとも言われ、ストレスに対して体を戦いの状態に維持するホルモンです。副腎皮質(腎臓の上にある副腎という小さい臓器)より分泌され、起床に合わせて朝方から分泌上昇し覚醒後の戦い(日常生活)を準備します。メラトニンは深部体温を下げることで眠気を誘導するホルモンです。松果体(脳の中心部分の存在)より22時ごろより分泌され睡眠中最大となります。眠りのホルモンですので日中分泌はほとんどされません。成長ホルモンは前述した通り、睡眠2〜4時間後の深睡眠に最も分泌され、疲労回復や臓器発達・修復に作用します。子供の1日に必要な睡眠時間は、小学生が10時間前後、中高生は8〜9時間と言われています。スマホやゲーム、Youtube等、現代の子供達はやる事が多過ぎます。しかし成長ホルモン分泌期間は脳の修復や筋肉・骨の成長には必要な時間ですので、無理矢理にでも睡眠時間を獲得させないといけないのが結論となります。なかなかベット、布団に行かない思春期の子供達をどれだけ速やかにコントロールするか腕の見せ所ですね。頑張れ、お母さんお父さん!
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